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まだ容器はもつらしかった。
AEDと人工呼吸器で筋肉運動を取り戻し、かろうじて生の状態を保っている。
直ぐに北野家の面々がやってきたし、最短日数で父親や兄、さやかやフェリックスも現れた。
さやかの弟である怜も来たし、ライナも来た。
その度に涼が頭を下げていた。
なぜ涼が謝るのか綺樹は不思議だった。
別に何も悪いことをしていない。
体調不良を無理に連れ回したわけでもない。
もっと綺樹が面白くなかったのは、頭を下げられたほうは誰も涼を取り成さなかった。
無言でため息をつかれるのせいぜいで、さやかは怒りを隠そうとしなかったし、フェリックスは辛らつだった。
全くどいつもこいつも。
それが綺樹の感想だった。

