The side of Paradise ”最後に奪う者”


   *

まだ容器はもつらしかった。

AEDと人工呼吸器で筋肉運動を取り戻し、かろうじて生の状態を保っている。

直ぐに北野家の面々がやってきたし、最短日数で父親や兄、さやかやフェリックスも現れた。

さやかの弟である怜も来たし、ライナも来た。

その度に涼が頭を下げていた。

なぜ涼が謝るのか綺樹は不思議だった。

別に何も悪いことをしていない。

体調不良を無理に連れ回したわけでもない。

もっと綺樹が面白くなかったのは、頭を下げられたほうは誰も涼を取り成さなかった。

無言でため息をつかれるのせいぜいで、さやかは怒りを隠そうとしなかったし、フェリックスは辛らつだった。

全くどいつもこいつも。

それが綺樹の感想だった。