The side of Paradise ”最後に奪う者”


まだ朝なのに、じめっとした暑さに包まれ、途端に汗が噴出す。

駐車場だから、外よりも会社の廃熱が篭っている気がした。

全く日本の夏は湿度が高すぎる。

けたたましいセミの鳴き声は頭に響くし。

ぶつぶつと呟いて歩いていると、目線が高くなっているのに気が付いた。

体がもの凄く軽い。

驚いて振り返った。

自分の体がそこにある。

うわっ。

こういうことって本当にあるのか。

綺樹は妙に感心した。