「おまえと出会って後悔したことは無いよ。
なんでおまえなんだろうとは何度も思ったけどね」
くすりと笑う。
そう。
やっぱり出会ったことは後悔していない。
「でもずっと愛していたし、やっぱりこれからも愛しているよ」
涼はずっと固まっていたが、笑った。
力無い笑いだった。
「上げて落とす。
あなたらしいな」
綺樹はちょっと口元で笑いを作ってから、するりと涼の首に抱きついて耳元で囁いた。
「いつだって私の方が、より愛している」
身を離して婉然と笑った。
「それを知っていると少し楽だろう?」
にやりと笑って車から降りて歩き出した。

