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しばらく料理をしていないようだったが、相変わらず手際がよかった。
「作っていた記憶はあまり無いのになあ」
ダイニングテーブルに座って頬杖をついている綺樹がくすくすと笑っていた。
「どういう時に作っていたのか良くわかるけど」
ちらりと肩越しに綺樹を振り返った。
「頭のいい人って料理が上手いはずなんだよ。
やってみたら?」
「興味ない。
おまえが作る料理が好きだし。
そうか、胃袋を掴まれたのかな」
「それって普通、男女が逆」
「そう?」
「そう。
はい手伝って」
3枚におろされた魚が目の前に置かれ、もう一つの皿に小麦粉が置かれた。

