The side of Paradise ”最後に奪う者”


    *

しばらく料理をしていないようだったが、相変わらず手際がよかった。


「作っていた記憶はあまり無いのになあ」


ダイニングテーブルに座って頬杖をついている綺樹がくすくすと笑っていた。


「どういう時に作っていたのか良くわかるけど」


 ちらりと肩越しに綺樹を振り返った。


「頭のいい人って料理が上手いはずなんだよ。
 やってみたら?」

「興味ない。
 おまえが作る料理が好きだし。
 そうか、胃袋を掴まれたのかな」

「それって普通、男女が逆」

「そう?」

「そう。
 はい手伝って」


3枚におろされた魚が目の前に置かれ、もう一つの皿に小麦粉が置かれた。