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「ほら、やっぱり見損なっただろ」
ことが終わって、そのままベランダにあるジャグジーに移動して二人で入っていた。
だらしなく湯船の淵に両腕を重ねて置き、顎を載せていた綺樹は肩をすくめた。
「明日がある」
涼がふっと黙り込んだ気配があった。
「そうだな。
後、2回もある」
綺樹は目を閉じて微笑した。
涼らしくいつもの前向き発言だ。
「まだそんなに暑くないから、砂辺を散歩してみようか?」
怠惰な人だからどうかと思ったが、意外にも綺樹は目を開くと、しゃっきりと体を起した。
「そうしよう。
涼、あそこ」
指を指す方に顔を向けると、背後で湯から上がる音がした。
振り返ると既に体はバスローブの陰になっていた。

