The side of Paradise ”最後に奪う者”


  *


「ほら、やっぱり見損なっただろ」


ことが終わって、そのままベランダにあるジャグジーに移動して二人で入っていた。

だらしなく湯船の淵に両腕を重ねて置き、顎を載せていた綺樹は肩をすくめた。


「明日がある」


涼がふっと黙り込んだ気配があった。


「そうだな。
 後、2回もある」


綺樹は目を閉じて微笑した。

涼らしくいつもの前向き発言だ。


「まだそんなに暑くないから、砂辺を散歩してみようか?」


怠惰な人だからどうかと思ったが、意外にも綺樹は目を開くと、しゃっきりと体を起した。


「そうしよう。
 涼、あそこ」


指を指す方に顔を向けると、背後で湯から上がる音がした。

振り返ると既に体はバスローブの陰になっていた。