綺樹は涼の手に自分の手を重ねて指を絡めた。 同じように地平線を眺める。 凄く心が穏やかだった。 満ち足りていて。 ああ、そうか、これが幸せというんだ。 綺樹は口元で微笑した。 日の出は間近らしかった。 綺樹は後ろに下がって涼の膝の上に座ったが、涼は薄明るくなってきた地平線から目を離さなかった。 綺樹は両手で涼の頭を掴んで強引にこちらを向かせると、くちびるを合わせた。 「見損なうぞ」 「大丈夫。 私の方は見える」 キスの合間にそう言われて返すと、涼にそのまま床に組み敷かれた。