The side of Paradise ”最後に奪う者”


   *

最後の週末をどう過ごすかと涼は決めると、悪友の瞬に電話をした。


「珍しいな、涼からなんて」


すごくご機嫌な声だった。


「この間は結構な対応をありがとう」

「いえいえ」


涼の皮肉ににこやかに答えた。


「お互い忙しい身だから、さっさと用件に入るが、葉山の別荘を今週末貸して欲しいんだ」

「僕の就職は春からだからね。
 まだ暇だよ。
 お楽しみに十分、つきあえる」


涼の意図は分かっていたが、にこやかに続けた。

涼は無視する。


「それでこの間の対応をチャラにするよ」

「それは少しこっちがペイしすぎじゃないかなあ」


笑っている。