*
最後の週末をどう過ごすかと涼は決めると、悪友の瞬に電話をした。
「珍しいな、涼からなんて」
すごくご機嫌な声だった。
「この間は結構な対応をありがとう」
「いえいえ」
涼の皮肉ににこやかに答えた。
「お互い忙しい身だから、さっさと用件に入るが、葉山の別荘を今週末貸して欲しいんだ」
「僕の就職は春からだからね。
まだ暇だよ。
お楽しみに十分、つきあえる」
涼の意図は分かっていたが、にこやかに続けた。
涼は無視する。
「それでこの間の対応をチャラにするよ」
「それは少しこっちがペイしすぎじゃないかなあ」
笑っている。

