The side of Paradise ”最後に奪う者”


「私は昔からいつだって、おまえに会いたかったよ」


涼が黙り込む。


「僕の負けです」


息を吐きながら認めた。

綺樹は笑った。

あえてそれを言うならずっと負け続けているのは自分だ。

涼と夕食を一緒にする約束をして電話を切る。

より愛したほうが負け。

そんなの可笑しいという意見もある。

でも自分たちの関係は、生きるか死ぬか。

そんな恋愛関係だった。

やっと終止符が打たれるのか。

そして。


「負け越しか」


窓の外を眺めながら呟いて微笑した。