The side of Paradise ”最後に奪う者”


 *

平日、一日でも夜を一緒に過ごせればと思っていたが。

無理に上海に行った、しわ寄せが来ていた。

平日はほとんど深夜を超えなければ会社を上がれそうになかった。

だから帰りの飛行機の中で、1週間の間は、一緒に暮らさないか誘ってみたが、断わられた。

友達関係に戻すのに、そういう時間の過ごし方は嫌だ、と。

妥協点は、週末は一緒に過ごすということだった。

ならばせめて食事だけの機会は、出来るだけ増やしたかった。

そのまま一緒に過ごせず、仕事に戻ることになっても、時間をできるだけ積み重ねたかった。

月曜日の午前中に早速電話をかけると、既に起きていた。

聞けば、報告書のチェックをしているらしい。


「おまえも忙しいんだろ?
 成介が言っていた」

「まあ、自業自得なので」


電話の向こうで笑い声が響いた。


「なぜ、自業自得なんだ?」


笑みを含んだ声がいたずらっぽい。


「あなたね」


わかっていて言っている。