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平日、一日でも夜を一緒に過ごせればと思っていたが。
無理に上海に行った、しわ寄せが来ていた。
平日はほとんど深夜を超えなければ会社を上がれそうになかった。
だから帰りの飛行機の中で、1週間の間は、一緒に暮らさないか誘ってみたが、断わられた。
友達関係に戻すのに、そういう時間の過ごし方は嫌だ、と。
妥協点は、週末は一緒に過ごすということだった。
ならばせめて食事だけの機会は、出来るだけ増やしたかった。
そのまま一緒に過ごせず、仕事に戻ることになっても、時間をできるだけ積み重ねたかった。
月曜日の午前中に早速電話をかけると、既に起きていた。
聞けば、報告書のチェックをしているらしい。
「おまえも忙しいんだろ?
成介が言っていた」
「まあ、自業自得なので」
電話の向こうで笑い声が響いた。
「なぜ、自業自得なんだ?」
笑みを含んだ声がいたずらっぽい。
「あなたね」
わかっていて言っている。

