The side of Paradise ”最後に奪う者”


「解放、か」


呟くように言って、また築山を見つめる。

築山は蓬莱山だったか須弥山だったか。

どちらもこの世界ではないところ。


「ここから?」

「はい」


綺樹は眦を和らげた。

くすりと笑う。


「そう」


再び頬杖をついたまま庭を眺める。

しばらく自由な片方の手の指で、床板をリズムカルにタッピングしていた。

祥子おばさんはそれがわかっていたのだろう。

だから治人を罰せず、そのままここに置いた。


「死による解放」


綺樹は少し嬉しげに呟いた。