足を組み、ひざに頬杖をつく。 しばらく後に治人が口を開いた。 「先代もここからの眺めがお気に入りでした。 狭くなっていた目先が広がるとおっしゃっていました」 「先代」 思わず皮肉の口調になる。 「それは母のこと? それともその前?」 「前者です」 ためらいのない即答に綺樹は思わず笑った。 「よく言うな。 疑心暗鬼になり殺したくせに」 「申し訳ございません」 よどみの無い謝罪と平伏に、肩をすくめた。