The side of Paradise ”最後に奪う者”


ふっと笑って、庭へ首をめぐらせた。

夏の日差しが地面に濃い影を作る。

水晶の廉 動き、微風 起こり、だったかな。

いつか読んだ漢詩がよぎる。

白い砂の築山。

塵一つ落ちていない白い砂の上に描かれた模様。

石には苔。

縁側に腰をおろして、眺める。


「無駄に立派だ」

「無駄なことはありません」


声に振り返ると、知らず内に広間の端に、治人が座って控えていた。

しばらく見つめてから綺樹は視線を庭に戻した。


「役目はわかる。
 だが過剰は無駄だ」

「はい」


素直な返事に片眉を上げた。