もっと早ければ。
微妙な空気の動きに気がついたのか、涼が目を覆っていた腕をどけた。
目が合う。
涼はベッドに突いている綺樹の手の上に自分の手を置いた。
本当にただ置いたというような感じで、下に綺樹の手があるのに気づいていないんじゃないかと取れそうだった。
この状況で何の感情も感じさせず、だからこちらが怯えることも、構えることも起させない。
でも確実に捕捉されている。
上手いな。
綺樹は涼の成長に寂しい気分で微笑した。
それを見て涼が笑った。
「限界かな」
意味を取りかねた。
「限界だな」
涼は長く息を吐いて、身を起こした。

