「なぜ、別れてしまったんだろう」
疲れた弱い声だった。
問いかけのような、独り言のような言い方もそうだったが、言っている内容だけに綺樹は黙っていた。
ダバリードの船上パーティーで別れた理由は教えてある。
だから独り言なのだろう。
涼らしくない弱気な台詞でもあった。
本当に調子悪いんだな、と思った。
涼が表情を作りそうになったが、そのまま元に戻った。
綺樹はそれを見て口を開いた。
「過去に囚われてしまった私の弱さかな」
涼の口元が笑った。
「それを克服させられなかった僕の力不足か」
そういうことを言ってくれるようになったんだな。
ぐらりと自分の中が揺れそうになる。

