The side of Paradise ”最後に奪う者”


「そうだろうね」


涼は冷静に返した。


「今日は先に休むよ。
 お休み」


それだけ言うと涼は階段を上がっていってしまった。


「全く、人の寝室を当たり前のように使うな。
 ソファーでいいならくればって言ったのに」


ぶつぶつと呟く。

本人に強く言えないのは昨晩、手を煩わせてしまった負い目からだった。


「社長、実は体調が悪いんですよ。
 早く横になりたかったんでしょうが、あなたが帰って来るまでは心配らしくて」


やせ我慢してたんですよねーと笑った。


「珍しいな」


綺樹は首を少し傾げた。


「健康と体力だけが取り柄だろう」

「色々と誰かさんへの心労がありますからね。
 それに誰かさんが日本に来ている間は、最大限の優先事項ですから。
 詰められるときは、とことん仕事を詰めています。
 ここにくる数日はほとんど徹夜ですね。
 まあ、一途なことで」


綺樹は肩をすくめた。