「先に、帰ってて」
「帰るなら送るよ」
綺樹は答えられなかった。
直ぐに帰りたかったが、体が動かなかった。
少し体を待ってあげないと、そのまま意思だけが突っ走って分離しそうだった。
最期の辺りに全身の血液の流れが止まりかかり、急速な重力に吐きそうになった。
今まで体験したことが無かった感覚だった。
和が生まれてから、跡継ぎが出来たんだからと定期健診を受けなくなっていた。
フェリックスには煩く言われたけど、一蹴していた。
アメリカに戻ったら一応診てもらおうか。
少し気力を呼び起こす。
「眠くて」
体が動かないとは言えない。

