「別に。 言い方を訂正するよ。 あなたといた、とじゃない。 その時間にいた、だ。 記憶が無いとそういうのに縋るんだよ」 不本意な訂正になって、不機嫌な口調になった。 「そうか」 綺樹は納得したのかしなかったのか、曖昧な口調だった。 「悪かった。 ちょっと高慢だったな」 綺樹は不機嫌な口調を違う風に勘違いしたらしい。 それも不本意だったが、どうしようもなかった。 「ま、諦めが肝心さ」 涼はいつもどおりの口調に戻して、綺樹の頭にぽんと手を置いた。