「私も若かったからね。
若気の至りで、それには思い入れが強く入りすぎているよ。
お前が持っているのは良くない気がする。
悪霊が宿っていて悪さするぞ」
くすくすと笑う。
本当は、あの頃の涼と一緒に過ごした思い出を、手元に取り戻したいだけじゃないか。
記憶の無い、別の男の手元に置いておくのではなくて。
涼は自分の僻みが情けなかった。
「だーめ、諦めなさい」
綺樹は小首を傾げて、涼の顔を覗き込むようにした。
「そこまで固執すること無いんじゃないか?」
涼は一瞬くちびるを引いた。
舞台に顔を向けたままグラスに口をつける。

