The side of Paradise ”最後に奪う者”


「飲んでみる?」


自分のが運ばれてくると、ちょっと持ち上げた。

綺樹はちらりと見ただけだった。

どことなく機嫌が悪い様子に、涼は口元で微笑してからシャツの袖を少し引いた。


「どう?
 結構きれいになったでしょ」


綺樹はグラスに口をつけたまま動きを止めた。

小さな擦過傷などが消えていて、輝きが戻っていた。


「メンテに出してみたよ。
 本当だったらひと月ぐらいはかかるんだけど、西園寺の時計部門がもっている直営店にねじ込んだ」

「そう、か」


戸惑い気味に綺樹は相槌をうった。

涼がビールのグラスを置いた。