The side of Paradise ”最後に奪う者”


「検討しておきます。
 そちらに迎えに行きますね」


しないだろう、検討。

綺樹は突っ込もうかと思ったがやめた。

断わってもよかったが、日本に来ている理由が理由だ。


「いいよ、店どこ?
 直接行っているから。
 メールして」


電話を切ると綺樹は携帯を置いて、また目を閉じてまどろみだした。

時差ぼけがまだ抜けないのかな。

黒いとろりとした甘いものに引き込まれやすい。

それがゆっくりと足元から上ってきて、体をさらって行く。

妙に心地よくて。

もう委ねたままでもいいと思ってしまう。

綺樹の手から携帯が床に落ちた。