「お願いします」 綺樹はここで断わっても、何としてでも来るのがよくわかっていた。 こういう時の涼は頑固だ。 必ず実行する。 「わかった。 先方に聞いてみるけど、期待しないでよ」 「ところで今夜なんですけど」 「はいはい」 もの凄く投げやりに答えてくる。 「ジャズでも聴きに行きませんか?」 「ジャズだけならいいけど?」 「聞こえない」 「だけな」 諦めまじりの提案だった。