車の助手席に片足を抱え込んで座り、横の窓を見ていた。
白い横顔。
古くなったから捨てれば。
新しいのに乗り換えろよ。
本当に腕時計の話か。
どれだけの痛みを持って、あの人はこの関係を続けているのだろう。
涼は携帯を探って、わずらわしいからわざと執務室においてきたのを思い出した。
こんな時に限って。
腕時計を腕にはめると執務室に早足で戻った。
当番の秘書の子がまだお昼を食べているのに、ゆっくりしていてと声をかけた。
部屋に入ってわざと置いていった携帯を鷲掴む。
留守電になりかける前に切って、もう一度かける。
「はい?」
けだるげな声だった。

