涼は早く服を着るように、身振りをしながら携帯で電話をかけ、成介に住所を聞いた。
高速を飛ばしながら、隣に座る綺樹をちらりと見た。
ホテルを出てからずっと片足を抱え込んで座り、ずっと横の窓を見ていた。
半ば放心している寒々しい白い横顔だった。
「気が付いたんだけど」
涼の視線に気付いたのか、唐突に口を開いた。
「まだその腕時計をしていたんだな」
「あ?
ああ。
気に入っているんだ。
何本かあるんだけど、結局これが一番好きで。
どういう風に手を入れたのか、まだ記憶が戻らないけど。
あなた知ってる?」
綺樹はくちびるを一瞬ひいた。

