かすかな違和感を感じて成介の後姿を見送る。
同じく違和感を感じる腕時計に視線を走らせた。
店で見たときは、それなりに気に入って買ったのだが、腕にはめてしばらくすると、なんだかしっくり来ないのだ。
そうやって、このところ毎月腕時計を買っている。
成介には、この間、あなたに腕時計をコレクションする趣味があるとは知りませんでしたよ、と皮肉られた。
渡り歩くのは時計だけにしたらどうですか、と付け加えられた。
全くもって小うるさい。
「今夜、暇ですよね」
来客が社長室から出て行くのを見送った後、唐突に成介は確認した。
「なんだよ」
うさんくさげに聞く。
また見合いとか言い出すのか。

