「ここで待っていて。 道路に出してからの方が乗りやすいだろうから」 料金を精算しに機械へと歩き出した背。 その上のビルの隙間に、あの夜と同じ細い三日月がかかっているのを見つけ、綺樹は息を詰めた。 NYのペントハウスでの時が蘇る。 パルティータが頭の中で渦巻くように鳴り始める。 ごめん、涼。 完全には無理かもしれない。 だけど少しでも楽にしてやるから。 あの時、誓ったから。 その位置で待ってろ。 あと、少し。 綺樹はぎゅっとくちびるを結んだ。