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ゆるゆると日が流れていく。
社長業と学生業をこなしていると、時間がいくらあっても足りない。
追い立てられるように毎日を送っている。
なのに。
ぬるま湯のよう。
刺激が足りないのか。
首をひねる。
悪友の瞬と共に、女性とそれなりに刺激的な関係も持っているのだが。
お気に入りの彼女も出来たし。
やっぱり暁子か?
「成介。
放浪の旅に出たのは、暁子にプロポーズを断わられたからか?
だからNYに行ったのか?」
成介は手にしていた書類を未決裁箱に入れた。
ぼんやりとした涼の横顔を見下ろす。
自分の中に答えを探っている顔。

