The side of Paradise ”最後に奪う者”


    *

ゆるゆると日が流れていく。

社長業と学生業をこなしていると、時間がいくらあっても足りない。

追い立てられるように毎日を送っている。

なのに。

ぬるま湯のよう。

刺激が足りないのか。

首をひねる。

悪友の瞬と共に、女性とそれなりに刺激的な関係も持っているのだが。

お気に入りの彼女も出来たし。

やっぱり暁子か?


「成介。
 放浪の旅に出たのは、暁子にプロポーズを断わられたからか?
 だからNYに行ったのか?」


成介は手にしていた書類を未決裁箱に入れた。

ぼんやりとした涼の横顔を見下ろす。

自分の中に答えを探っている顔。