The side of Paradise ”最後に奪う者”


昨晩、食事をしているときに見せた彼女の微笑。

やや伏せられたまぶたと、笑みの作られたくちびる。

愛する男を想っている顔。

そんなにその男のことを愛しているのか。

涼はシートに身を預けた。

自分だけど自分じゃない。

彼女自身も言った。

”記憶が無いんだ元夫じゃない”


その夫の男がかつて望んだから。

”止められるものなら止めているって言ったんだ。
 解放されるのも悪くないって”

船の上で言っていた彼女の静かに微笑を浮かべた横顔を思い出す。

だから友人関係で、単なる寝れる関係だけのフリまでする。