「少し落ち着いたら送ります。 今の状態で帰したら、北野の家も心配します」 綺樹は顔を覆ったままうなずいた。 「ありがとう」 成介はため息をついた。 「だから言ったでしょう。 声を殺して泣かなくていいんですって。 ここでも我慢したら、あなたどこで素になれるんです?」 綺樹は片手を振った。 「やめろ。 もう何も言わないで」 成介は口を開いて閉じた。 むっつりとした顔になるのが自分でも分かる。