The side of Paradise ”最後に奪う者”


   *

グレースが執務室に飛び込んできたのに、さやかは軽く手を上げた。


「わかっているわ。
 予定通りスペインに行ったのね」


グレースは真っ青だった。


「申し訳ございません」

「いいのよ。
 私も立って歩いて行けるとは思ってはいなかった」


ふうっと笑う。


「でもこのままでは駄目ね。
 目先に捉われては駄目。
 しょうがないわ。
 綺樹を失うよりはマシでしょう」


グレースもうなずいた。