* グレースが執務室に飛び込んできたのに、さやかは軽く手を上げた。 「わかっているわ。 予定通りスペインに行ったのね」 グレースは真っ青だった。 「申し訳ございません」 「いいのよ。 私も立って歩いて行けるとは思ってはいなかった」 ふうっと笑う。 「でもこのままでは駄目ね。 目先に捉われては駄目。 しょうがないわ。 綺樹を失うよりはマシでしょう」 グレースもうなずいた。