そうだよな。
振り返った自分がおかしかった。
もうとっくに戻れないんだ。
歩いていくしかない。
2・3歩歩いて唐突に立ち止まると壁に手をつき、よりかかった。
駄目だ、息苦しくて進めない。
携帯を探る。
「はい?」
あいまいな声だった。
「成介?
こんな時間にごめん。
出れる?
北野の家まで送れるかな。
タクシーに乗りたくないんだ」
ああ、声が震えてる。
「本当にたいした時間ですね。
社長によってタクシーに乗れない外見になったわけでは無いですよね?」
その聞き方に笑ってしまい、ちょっと気持ちが持ち直した。

