「ああ、色々とあったよ」 さやかとだが。 綺樹はあっさりと答えて、出てきた焼き物に手をつけた。 記憶が無いから、どの男とも一晩しか関係を持たない事を知らない。 それはそれで都合がいい。 何度も寝る男が自分だけだとは知られたくない。 「ま、お互いそこら辺は立ち入らない方がいいんじゃない?」 箸でなすを一切れとり、口に運んだ。 「おいしいな。 蒸したナスを味噌で食べるのは久しぶりだ」 無言の涼ににっこりと笑いかけた。 涼は冷酒の杯をしばらく揺らしていたが置いた。