綺樹は肩をすくめた。 「私のじゃない。 全部、北野の家に置いてあった母のだ。 おまえに会うといったら、祥子叔母さんのスイッチが入っちゃって、大変だったんだぞ。 こっちの服を着てみろ、あっちに取り替えろ」 「スイッチが入ってよかったよ」 「なんでいつもの服装じゃいけないんだ」 ややむくれた口調に涼はちらりと見下ろした。 「ああ。 まあ、構わないかな。 そういう姿をあんまり他人に晒したくないな」 「なんだそりゃ」 「別に」 鈍いとこういう時は助かる。