“来日したら電話を下さい。
 食事でもしましょう“

予想通り綺樹からは返事はなかった。

見てるんだか見てないんだか。

腹が立つが、彼女らしすぎて、それもばかばかしくなってくる。

いらいらしたって損だ。

気にしないで放ったらかし気味のほうが彼女は安心するに違いない。

気持ちを切り替えようと涼は書類のバインダーを開けた。

成介は机にひじをつき頭を支えながら電話をしていた。


「ええ。
 安定といえば安定です。
 見ていて面白いですよ。
 高校生です」


電話の向こう側の綺樹は笑った。