The side of Paradise ”最後に奪う者”


綺樹はそんな涼の様子に気付かず、首をめぐらせて暗い外を眺める。

「二回目を始める前に週末を一緒に過ごしたんだ。
 あの時、この二日があれば生きていけると思った。
 だけど思いがけず八ヶ月分蓄積できた。
 私の仕事が忙しくなってしまって、一緒に過ごした時間は少なかったけど。
 濃かった」


肩をすくめる。


「だからかな。
 反動でお前に対してあそこまで無視する態度をとったのは」


いくらなんでも流産のことまでは言えない。

ちらりといたずらっぽく見上げる。


「わかってもらえましたかね。
 私がおまえとはもう友人関係で十分だって言う理由が」


涼は視線を外した。