返し刀で切られた感じだった。 やはり言うんじゃなかった。 色々と思い出してしまった。 涼はグラスを持ったまま腕を組んで、しばらく黙っていた。 「思い出せない」 「幸せだな」 思わず嫌みが込められる。 「小さな幸せは合間合間に無かったのかな」 綺樹はフォークを置いた。 「たとえば。 サークル仲間に手を出しても、同居を解消しない位は気持ちがあるんだなとか? 恋人関係は終わっても、友人関係として同居してもらえるほどは、好かれているんだなとか?」 涼が唖然としている。