綺樹は胡散臭そうに横目で見た。
「そんなに会えないって。
さやかに聞いて、日本でするべき仕事があったらするし。
最低限の日数にする。
日本はあまり好きじゃない」
綺樹は窓の外を見ながら、最後は呟くようだった。
「1回目の結婚生活を送ったから?」
さりげない口調でマリネをフォークですくっている。
綺樹は迷った。
でも本当のことを言って、再び関係を戻す困難さを分かってもらったほうがいい。
「日本でおまえと出会ってから結婚生活が終わるまでの期間は、今のところ人生で一番最悪だ」
涼は租借を止めて、綺樹に視線を上げた。
「そう」
グラスから水を飲む。

