The side of Paradise ”最後に奪う者”


「はい?」

「だから」

「時間に余裕はあるんですか?
 会うだけの」


綺樹は、あるよ、と簡単に答えた。


「祥子おばさんというのは、お父さんの?」


そこも記憶が無くて説明しなくてはいけないのか。

綺樹は最低限のことだけを語った。


「顔が母と同じでね。
 懐かしいみたいだ」

「嬉しいですね。
 ちょくちょく会えるなら」

「おまえ、人の話を聞いていないだろ」

「聞いていますよ」


涼はにっこりと笑った。


「待ち遠しいです」


やっぱり聞いていない。