The side of Paradise ”最後に奪う者”


「せいぜい僕よりも長生きしてください」


投げやりな調子に綺樹は噴出した。


「以前も同じ事を言ったな」


思わず口に出ると、涼はフォークを止めた。


「いつ?」

「さあな」


失言だった。

涼も綺樹が答える気が無いのを見抜いた。


「夏休みはどうするんですか?」

「夏休み?」


綺樹はきょとんとした感じで顔を皿から上げた。


「ああ、日本だよ。
 祥子おばさんの具合があまり良くなくてね。
 私が側にいると喜ぶんだ。
 顔が同じだから」