呆れてしまって、もう綺樹に声をかけるのもばかばかしくなり、フォークを手にした。
「ダバリードはどうだった?」
顔を上げると、綺樹がしっかりとした視線を向けていた。
「さやかさんはお忙しいらしくて、今日は担当者とだけの打ち合わせだったよ」
「そうか」
綺樹が顔を曇らせる。
「そのことで考え事?」
「ん?
あ、いや、ごめん」
綺樹が苦笑いをした。
「明日の試験で、自分の思考に綻びが無いか色々と辿っていた。
おまえが来たとき、途中だったので止まらなくて。
悪かった」
そういう時に無理に時間を作ってもらったのはこっちだから、それ以上は言えない。

