「すいません」
涼は口ごもりながら謝った。
自分でもばつが悪かった。
なぜそんな行動をしてしまったのか。
なんとなくもったいないと思った。
素材はいいから、もうちょっと服などに気を遣えばいいのに。
でも目立たれて寄ってくる男が増えるのも困る。
遠慮なく、この人は片っ端から手をつけそうだし。
この間、ハーバードのビジネススクールはパーティスクールとも言われるぐらい、パーティの数が多いと聞
いた。
それからずっと心中、穏やかでない。
ちらりと隣を歩く綺樹を見下ろすと、またぼんやりとした表情になっていた。
そのまま涼に何も言わず、通り沿いのトラットリアのドアを押して入っていく。
涼は足を戻して後から入った。

