The side of Paradise ”最後に奪う者”


涼はちょっとだけ眉を寄せた。

印象は友人より愛人のほうが悪いが、愛人なら二人の間に何らかの互いの愛情がある。


「愛人じゃねーよ」


涼は呟くと、書類を出そうとして引き出しを引いた。

自分がその引き出しの奥底に、雑誌を入れっぱなしなのを思い出して、固まった。

綺樹の肌の光沢と感触が蘇ると涼を襲い、突き抜けていった。

色恋無く寝るのも運動みたいでいいと言われ、さっぱりした感じに努めたけど。

時々眉根をぎゅっと寄せる顔や、声をあまり漏らすまいとするのに、背筋がぞくぞくとして困った。

もっと乱してみたかったけど、そうなるとこっちの歯止めが壊れて、耳元で言ってはいけない言葉を囁いてしまう。