「なんだかタイミングが悪かったか?」 「ちょうど社長が出社してきたので」 「そうか。 随分早い出社だな」 「そこだけは真面目なんです」 綺樹が笑っている。 成介は少し安堵した。 「もっと早くに電話をかければよかったな。 涼が出てくる前におまえと話をしたかったんだ」 ちょっと言い淀む。 「昨日は取り乱して悪かった。 まったくもって恥ずかしい」 電話でも苦笑いしている様子が伝わってくる。