これで帰国した能天気男の顔を見たら、頭にきそうだ。 自分が仕組んで泣かした。 あの男のためとはいえ。 最悪、社長職を継ぐ覚悟を決めるか。 いや、花蓮のことを思ったら駄目だ。 やはりわが子のことを考えると。 成介は涼が帰ってきたら、一つやりかえしてやると決めていると、涼が出社する前に携帯に電話が入った。 通知不能とくれば綺樹だ。 「はい」 部屋を出て廊下を歩いていると、向こうから涼が出勤してきた。 舌打ちをしたくなる。 「すぐ行きます」 涼はちょっとだけ眉を上げただけだった。