「悟られないようにするのって、結構大変だな。
指が震えそうになるし。
最後の方なんていっていいのか、いけないのかわからなくなったよ」
「随分な表現ですね」
成介が苦笑している。
「と、いうか、泣いていいんですが」
綺樹が泣き声を殺して、いつもどおりにしゃべろうとしているのが、携帯越しでも察せられた。
「そうだったよな。
なぜ泣くのか、よくわからない。
そう思わないか?
平気で他の男と寝れるんだ。
涼は死んで、あれは同じ顔の別人なんだから。
どうってことないし」
嗚咽が混じる。
「ごめ。
こんなには泣く積もりはないんだ。
切る」
「いいんです」
成介が強い声で間髪いれずに止めた。
「隣にいなくてすいません」
その生真面目な答え方に綺樹は少し笑った。

