「ミズ・ウルゴイティ?」
綺樹は口元で皮肉っぽく笑った。
当たり前だが、こいつは私が行きずりの男としか寝ないことを知らないのだ。
「心配には及ばない。
面倒なことになったら切るだけだから」
涼は少しの間動きを止めて綺樹を見つめた。
思わず聞いてしまった。
「どっちを?」
「面倒な方を」
いつだって面倒くさい自分の感情の方を。
綺樹は背中を向けて、手を振った。
「気をつけて。
私は少し寝る」
「ん。
じゃあ」
涼の足音が遠ざかっていった。
やがて歩道を歩く靴音がする。
それが消えてから綺樹は起き上がった。

