「思い出が染み付くから?」 「思い出?」 すごく嫌そうな声に涼は訂正しながら、うなじに顔をうずめた。 「運動の場合は記録かな」 「どっちも同じだ。 そうじゃない。 日常生活とこれは分類が違う。 だから場所も分けるんだ」 「はいはい」 くちびるを滑らせる。 「あなたが言ったとおり、色恋なく寝るのは楽でいい。 相手に気を遣わなくて、自分の快楽を優先できる」 とっさには反応できなかった。 綺樹は一瞬、間を置いてから、くつくつと笑い出した。 いつもどおりの口調で、言うだろう言葉を口にした。