この人にはあのことはどう残っているのだろう。
綺樹は真っ直ぐ前を見ていた。
キャンパスの緑の芝生の広がり。
向かい風がふわりと前髪をなびかせた。
うっすらと微笑している。
涼はそれを見つめていた。
何度も見たことがあるような。
綺麗な横顔だ。
パーツの調和なのか。
澄んでいると思った。
あんなに男関係が派手で、ビジネスでは感情を交えないのに。
清らかだ。
なぜそう思ってしまうのか。
綺樹の表情に少しいたずらっぽさが加わった。
見られているのを知っていたのか顔を向けて、目を合わせた。
「リベンジだ、涼」

