少し後ろを歩く涼の雰囲気を肌で感じる。
既によく肌に馴染んでいる感覚だった。
それだけじゃない。
建物を紹介するときに振り向いて見上げるとこちらを見る眼差し。
受け答えのときの間や言葉。
何も変わらない。
離れていた分だけ綺樹は涼に抱きついて甘えたい気分だった。
そんなことをおくびにも出さず、装飾豊かな図書館の中を見せる。
通りがかった棚で興味にひっかかって足が止まった。
「ちょっとごめん」
題名だけで選んで何冊も取り出して小脇に抱え、ざっと目次に目を通す。
涼が黙って抱えている本を取り上げた。
ちょっと綺樹が驚いて目を大きくした。
「持ってます」
「ありがとう」
にっこりと笑いかけられ、涼は思わずみつめると、もう顔は本に戻っていた。

