* 涼からの電話では、キャンパスを案内して欲しいということだったから、大 学の目立つ建物の前で待ち合わせた。 そこへ向かいながら迷っていた。 今ならすっぽかせる。 くちびるに力を入れる。 いや、やらなくちゃいけない。 今までのことを無駄にしないならば。 あれほど苦しみ続けたことを無駄にしない。 一つ呼吸して俯きがちだった顔を上げた。 建物の前に涼が立っているのが見えた。 人が行きかうのをじっとみている。 何を考えているのだろうか。 自分が来るのを探しているような感じではなかった。