The side of Paradise ”最後に奪う者”


   *

朝一で日本へ帰って行った涼が出勤したらしい。


「どう?」


成介の電話に開口一番、綺樹は聞いた。

少しかすれている声だった。


「大変でしたか?
 お疲れの声ですね」


綺樹はソファーにだらしなく横になっていた。


「飲みすぎたんだ。
 シャンパンは合わないって知っているのに、がぶ飲みしてしまって」

「あなたにも弱い酒があるんですか」


成介の愉快そうな口調に綺樹は眉根を寄せた。